不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

113 「理解不能」

意味がわからないというのは度が過ぎると返って逆に心地よかったりするものです。これも20代の頃のパチンコ店での出来事です。


そのパチンコ店は比較的客の少ない店で、その日はパチンコ台の列に私を含めて3人しか座っていませんでした。真ん中が私で一番左の台に60歳位の男性、一番右から2番目の台に20台前半の青年が座っていました。

しばらくは何事もなく時が過ぎたのですが、突然右端の青年が立ち上がりこちらに近付いてきます。青年は私の後ろを通り過ぎ一番左の男性の後ろで立ち止まりました。そして突然、思いっきり男性の背中を拳で強打したのです。「ボコッ」というかなり大きな音がしたのでそうとうな力で殴ったと思われます。

青年は表情一つ変えずに元の場所に戻るのですが、私の後ろを通り過ぎるとき私も殴られるのではなかろうかと気が気ではありませんでした。

ぱちんこ-s



殴られた男性はしばらく「う~」と言いながら背中を反らせていましたがしばらくすると何事もなかったかのようにパチンコを再開します。青年の方も普通に淡々とパチンコを続けるのです。その間二人は一度も目を合わせてはいないのです。

間に挟まれた私はいろんなことを想像してみるのですが、どうしても意味がわかりません。そうこうしていると今度は左端の男性が立ち上がり青年の方に歩いていったのです。

『あっ、今度は青年が殴られる』と思って見ていると男性は青年の後ろを通り過ぎそのまま真っ直ぐ店の出入り口の方まで歩いて行き、なぜかドアではなく横の透明なガラスにかなりの勢いで激突したのです。

厚いガラスでしたのでまさか割れることはないと思っていたのですが、大きな一枚ガラスは見事に砕け散って男性も額に怪我をしたようです。すぐに係員が来て男性はどこかに連れて行かれましたがその男性はそれっきり戻って来ませんでした。

コオロギのアトリエ