不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

153 「観音像(後)」

スピードは出ていないと言っても40キロ近くは出ていましたから、普通7~8メートル前方に突然飛び出した子供を避けられるわけなどないのです。ところが今思い出しても不思議でしょうがないのですが、どう考えても子供が道路に飛び出す前に急ブレーキを踏んでいるのです。

考えられないことなのですが意識より先に体が反応したとしか言いようがないのです。おかげで奇跡的に子供にぶつからずにすんだのですが、あまりにも急激に車が静止したものですから助手席の観音像が椅子から落ちてしまいました。

その衝撃で観音像の首は無残にも修復前の状態に戻ってしまったものですから訳は話さずお寺の住職に納品を1日伸ばしてもらい、徹夜で修復した観音像を次の日の午後に納品したときに住職からこんな話を聞かされます。

             かんのん2-s

「実はこの観音様は身代わり観音と申しまして、災難や事故から身を守って下さる有り難い観音様なのです。特に交通事故などにご利益があると聞いております。とは言っても常時観音様を車に乗せておくわけにもいきませんが…八ッ八ッ八ッ…」

それを聞いて全て納得するのですが『観音像に係わらなければ例の子供にも遭遇していなかったかもしれないし、危険な目にも遇わずにすんだのではなかろうか』などという罰当たりな事は微塵も思いませんでした。

コオロギのアトリエ