不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

164 「幻覚」

もし幻覚を見たとしても本人はそれを幻覚だとは認識できないそうです。脳がそれを信じている限りその幻覚はその人にとっては現実なのです。これは中学2年生の夏休みに経験したリアルな幻覚のお話です。

その日も勉強はそっちのけで居間の漆喰の壁に足の裏をピッタリくっ付けながら(真夏でも漆喰の壁は冷たいのです)いつものように昼寝に興じていました。当時はクーラーなどありませんから玄関もベランダ側のサッシも全開で扇風機をつけっぱなしにしての昼寝になります。

どのくらい寝たでしょうか部屋の中を母親がウロウロする気配で目が覚めたのですが、まだ完全に目が覚めていない状態で何気に視線を向けたベランダから射し込む光の中で何かが動いています。目を凝らしてみると何と『小さな宇宙人』が二人?フワフワと宙に浮いた状態で部屋の中に居るのです。

          幻覚-s

その蝶々くらいの大きさの半透明の
人の形をしたそれを不思議なことにその時点では何の疑いもなく宇宙人だと確信しているのです。通常では考えられないくらいのすばやい動きで飛び起き、側にあったタオルケットでその2体の宇宙人を捕獲し次の瞬間には畳の上に押さえつけていました。そして大声でこう叫んでいました。

「とった!捕った!…トッタ!…」

その雄叫びとほとんど同時に後頭部を思い切りホウキで殴られます。

「あービックリした!心臓が止まるかと思ったわ!昼寝ばっかりしとらんで勉強でもしたらどうね!何を捕ったか知らんけど、あんたが取らんといかんのはテストの点やろ!大体あんたは……」

その後、延々と母親の説教は続くのですが、残念ながら説教が終わるまで畳にシッカリ押さえつけていたタオルケットの中には宇宙人はいませんでした。

コオロギのアトリエ