不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

167 「ヘリコプター再び」

この『不思議な話(ニーマンのピク詰め)復刻版』の第2話で母親がヘリコプターと親密な関係にあることを書きました。

覚えていない方のために簡単に説明しますと、母親はヘリコプターと特殊な係わり方をする人で、母親が飛行中のヘリコプターに手を振るとそのヘリコプターは可なり高い確率で母親の頭上まで下りて来て、信じられない程の低空をホバーリングした後、何事もなかったかのように何処かへ飛び去るというものです。

私が実際にそれを目撃したのは子供の頃ですが、現在母親と一緒に生活している妹の話によると数年前に母親がヘリコプターと至近距離でコンタクトをとるのを目撃したと言っていましたから70歳を過ぎた今でもヘリコプターとの特殊コンタクトは続いているらしいのです。

ところが最近久々にそれを生で見ることが出来たのです。それはある平日の昼下がりのこと、別にこれといった用事はなかったのですが近くまで来たついでにご機嫌伺いも兼ねて妹の家を訪ねました。家に居たのは母親と妹の娘の子供(ひ孫)だけでしたが他愛ない話で時間をつぶしていると、どこか遠くでヘリコプターのあの『バタバタバタバタ』という音が聞こえます。

                     ヘリコプター2-s

母親にそのことを伝えようとした時には母親はすでにベランダから裏庭に跳び出していて上空を見上げながら仕切りと手を振っていました。それは子供の頃に見たのと同じ光景で、ある種のデジャビュのような感覚を味わっていると凄まじい風と轟音の中で今にも吹き飛ばされそうな母親が私に向かって手招きをしています。

一瞬、シュールに感じたのは昼間だというのに母親は更に明るい光に照らされているような感じがしたからですが、ベランダに出て見上げたそれは実際に照明のようなものをこちらに向けているようでした。もしかすると何かに太陽光線が反射していただけなのかも知れませんが逆光の中でヘリコプターの中の人が少し身を乗り出して手を振っているのが私にも確認できました。

実際に体験するのは40年振りでしたが何度体験しても不思議でしょうがないのです。あんな新興住宅街であのような低空飛行が可能なのかというのもそうですが、ヘリコプターが飛び去った後、何事もなかったかのように美味しそうにお茶を飲む母親の冷静さが何よりも不思議なのです。

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