不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

171 「弥勒菩薩」

随分前にある企業が主催する小さな展覧会を覗いたときの話です。その展覧会は一般から公募した作品を200点ほど展示しているのですが、その中に『ミロク菩薩〇〇』さんという作家がいました。

勿論ペンネームなのでしょうが、その大胆なペンネームが気になり毎年その展覧会を覗くハメになるのですが、3年目にとんでもないことに気づきます。いつものように会場の入り口で出品者の名簿の入ったパンフレットを頂いた後、いつもの癖で『ミロク菩薩〇〇』さんの名前を探すのですが、何と、『ミロク菩薩』ではなく『ミクロ菩薩』だったのです。

            みろく-s

随分と小さな菩薩です。字ズラと音の響きで3年間も勝手に『ミロク』と決め込んでしまっていたことを申し訳なく思いましたが、もしかしたらその年のパンフレットの印刷ミスかも知れないと思い出品された絵の下にあるネームプレートを確認しようと会場を探しまわるのですが、不思議なことにいくら探しても『ミクロ菩薩〇〇』さんの絵を見つけることが出来ませんでした。

会場の担当の人に尋ねればすぐに答えの出ることなのでしょうが、あえてそれはしませんでした。そういう流の時には無理やり『答え』を急がず、自分の中でニュートラルな位置に留めておくことがその後の展開を面白くすると考えるからなのですが、次の年からは『ミクロ菩薩』さんの出品はなくなってしまいましたので、本当はどちらが正解だったのかは未だに謎のままなのです。

コオロギのアトリエ