192 「鯉のぼり」
ある特定の『物』や『場所』に恐怖を感じるという『~恐怖症』というのがあります。それは『高所』であったり『閉所』であったり『先端』であったり様々なのですが、中には信じられない物に恐怖を感じる人がいます。
中学生の頃に『蝶々』がダメだという女子がいましたがそれはまだ何となく意味はわかります。おそらく『燐粉』がダメなのです。変わったところでは洋服の『ボタン』がダメだという人もいました。服についている分には何とか我慢できるらしいのですが、ボタンが単体で机の上に置かれていたりすると身動きが出来なくなるほどの恐怖を感じるそうです。
今の所、私の知っている中で一番変わっているのが、ある女性の『鯉のぼり』恐怖症です。5月になると外出することが出来なくなるくらい鯉のぼりが怖いそうです。
どうしても外出しなければならないときには鯉のぼりと目が合わないように建物の影から影を選んで移動し、それが出来ない場所ではひたすら走るらしいです。そんなときには決まって両手を頭の上で振り回し「ヒエェ~」という悲鳴を上げながら走り抜けているそうです。
鯉のぼりの季節にどこからか悲鳴が聞こえたら、きっとその人です。
コオロギのアトリエ