不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

221 「みずな」

農業を営んでいる義理の兄に関する話です。兄の畑では主に春から夏にかけては「紫蘇」、秋から冬にかけて「水菜」を作っているのですが、最盛期には応援を頼むくらいに忙しくなります。


それは2年前の12月、水菜の収穫が一番忙しいときに起こった不思議な出来事です。
その日はご近所のTさんが朝からの作業の手伝いを頼まれていました。Tさんは自分の家の2階の窓から100メートルほど離れた畑で作業するお兄さんとお姉さんの姿を確認します。

お兄さんが畑に残り、お姉さんが畑から自宅の作業場に戻ると同時にTさんも作業場に向かう約束になっていたのです。ところがいつまでたっても畑での二人の作業は続きます。しばらく2階の窓から2人仲良く並んで水菜を刈り取っているのを見ていたのですが、Tさんがお姉さんだと思っていたその女性はどうもお姉さんではないことに気がつきます。

                    みずな-s

よく見ると70歳位のお年寄りだったそうです。あまりにも仲良く作業をしていたのでテッキリお姉さんだと思い込んでいたらしいのです。Tさんはその時どこかのお年寄りが応援に来ているのだと思い、慌てて作業場に駆けつけるのですが案の定お姉さんはそこにいました。

Tさんは自分の勘違いで遅れたことをお姉さんに話すのですが、お姉さんは不思議そうな顔をします。なぜなら畑にはお兄さん以外に人はいないはずだと言うのです。しばらくして畑から戻って来たお兄さんにそのことを訊ねるのですが、やはり1人だったと言います。

Tさんが見たそのお年寄りの体系や服装から、どうも数年前に亡くなられたお兄さんの母親ではないかということでした。もしかすると息子の作業が少しでも楽になるようにと手伝ってくれていたのかもしれません。

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