不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

236 「キン」

随分前の話ですが、ある日突然ワンちゃんが迷い込んできたことがあります。その毛足の長い中型犬は既に成犬でしたがとても人懐っこく、その毛の色から『キン』と名付けられたそのワンちゃんは気がついたら家族の一員になっていました。

キンはとても賢いワンちゃんでリード無しでも長距離の散歩が出来ました。どのくらい賢かったかと言うと、歩いて30分以上もかかる河原まで散歩に出かけたときにイタズラ心で物陰に隠れてキンを脅かそうとした事があるのですが、私の隠れ方が上手すぎたのかキンは私に気づかずにどこかへ行ってしまいます。

                 きんーs

しばらく探したのですがキンの姿はどこにもなく、その内に日も暮れて途方に暮れていると何とキンは私が行方不明になったと思い家まで戻って妻を連れて河原まで戻ってきたのです。そんな賢いキンちゃんが天に召されて数年後、後に我が家で飼っていた雑種のメスのワンちゃんが6匹の子犬を産みます。

親が毛の短いワンでしたので子供達も全員毛の短い子ばかりでした。ところが数時間後に確認すると1匹多いのです。随分遅れて生まれたと思われるその子犬は何故か毛が長いのです。

毛の色こそ真っ白でしたが成長するごとにキンにそっくりになって行くその子だけが河原に散歩に行きたがるのも不思議な気がしていたのですが、信じられないことに教えてもいないのに生前キンが得意にしていたあるポーズをするのもこの子だけなのです。

コオロギのアトリエ