不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

240 「トマト」

育った環境の中で経験してきた事というのは別の環境で育った人と比較することがなければそれがどんなに異常なことでもそれはその人にとってはあたり前なことなので、それがあたり前ではないことに気づいたときには結構戸惑うものです。

早い時期に気がつけばショックは少なくてすむのですが、ある程度年齢がいってから気がついたりするとそれを受け入れることにかなりの抵抗を感じる場合があります。

東京時代に友達が突然アパートに遊びに来たので、たまたま冷蔵庫の中にあったトマトを友達に食べてもらおうとしたときのことです。友達は私が差し出した器の中のザク切りにされたトマトを見つめたまま固まってしまいます。

                   tomato-s

「これは何だ」と言う友達に「これはトマトだ」と答えるしかありません。「トマトはわかる。トマトの上に乗っかっているものは何だ」と言いますから「砂糖に決まっているじゃないか」と答えると友達は信じられないと言います。私の家では生まれてからずっとトマトには砂糖と決まっていましたので友達の「トマトには塩だ」と言う意味が良くわかりませんでした。

変わった人もいるものだと思いつつも砂糖を塩に変えて再びトマトを出すと友人は更に驚いた顔をして「どうしたんだ、この塩の量は・・・」と言うのですが、私はトマトには山のように砂糖をかけるので、塩もそうなのかと思い山盛り状態で出したのが信じられなかったようです。友人が言うには塩は少量をパラパラとかける位で良いとの事でした。

 


今ではそういう食べ方もあるのだと理解はしていますが、理解しているだけで私は今でもトマトには大量の砂糖が本当だと思っています。

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