不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

245 「共通点-1」

これから3つの話を書かせていただくのですが、この3つの話にはある共通点があります。それは最近まで私も気がつかなかったことなのですが、そう言えば確かにそうなのです。

最初の話は10数年前に四国で体験したこんな話です。仕事の関係で四国の愛媛県の知人の家に1週間ほど滞在させてもらっていたときに、知人がどうしても私に逢わせたい人がいると言うので夜中に愛媛から徳島まで車で移動することになるのですが、夜中の12時を過ぎたところでまだ全体の半分の距離を走ったくらいでした。

知人は私に気を使い軽く食事をとりながら休憩できるお店を探してくれるのですが市街からかなり外れていましたし、そんな時間に開いている店どころか電気の点いた民家すらありませんでした。私は別にどうでも良かったのですが知人はメインの道路から脇道に反れてまでそれらしい店を探します。どのくらい走ったでしょうか気がつくと何と目の前に繁華街が広がっているのです。

点々とですが明かりの点った食事の出来そうなお店もあったのですが何だか様子がおかしいのです。車が一台も走っていないばかりか人が一人も見あたらないのです。時間も時間ですし都会の繁華街ではありませんからそれほどの華やかさは期待しませんが、それにしても静か過ぎるのです。

知人が適当な店を物色中に私も道路の脇に止められた車の外に出てみたのですが、何だか妙なのです。その辺一帯が街灯の明かり以外の別の青い光に包まれていたのと、冬だと言うのに寒さを感じなかったのと、何よりも不自然な感じを受けたのは全く風がなかったということでした。

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その時シーンと静まり返った繁華街の何処からか女の子の笑い声が聞こえてきます。その方向に目をやると真夜中だというのに近くの交差点の横断歩道で小さな女の子がケンケンをしながら一人で遊んでいるではありませんか。近くに親らしい姿は見あたりませんし、いくら交通量が少ないと言っても道路で遊ぶのは危険ですから注意したほうが良いなと思っているところに知人が戻ってきます。

知人は慌てたように私を車の中に押し込み、何故か何も言わずに車を発進させます。どこをどう走ったのか気がつくとメインの道路に出ていたのですが、知人はそこで初めて口を開きます。

「さっきの子供の靴の色、覚えていますか?」

そう言われて自分に子供の靴を見た記憶がないのに気づきます。そして更に知人はこう言います。

「さっきの交差点にジュースと花束が置いてあったのには気がつきましたか?」

コオロギのアトリエ