不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

255 「謎」

妹の子供がまだ3歳にならない頃の話です。元気の良い男の子で、その日たまたま私が妹の家に寄ったときにも近所の子供たちとどこかで遊んでいるということで家にはいませんでした。妹との世間話にも飽きてしまったのでそろそろ引き上げようとしていた時に妹の子供が帰ってきます。

元気よく我々のいる居間に入ってきた妹の子供を笑顔で出迎えようと身構えていた私はその子の顔を見て腰を抜かすほど驚きます。妹などは悲鳴を上げながら部屋の中を逃げ回ったのです。

何故かというと、子供の口から歯が飛び出していたのです。上あごの歯が歯茎ごと異様な形で飛び出しているではありませんか。最初は事故か何かだと思ったのですが本人は別に痛がっている様子もありませんし、逆に妹が驚くのを喜んでいるのです。

 謎-s

その内子供の口から出ていた歯が床の上に落ちます。その『ボトッ』という音に2人してもう一度驚くのですが、よく見るとそれは『入れ歯』でした。妹の子供は総入れ歯の上の部分をどこからかくわえて帰ってきたのでした。子供心に口の中に入れるものだということは何となく理解していたのでしょう。

ひとまずは安心するのですが、その後が大変です。子供を問いただしてもどこからそれを持ってきたのかがわからないものですから妹はそれをティッシュに包んで子供が遊びに行きそうな家を一軒一軒回ります。ところがどこも心当たりがないということで、仕方なく近所の家をしらみつぶしに回るのですが結局持ち主にたどり着くことは出来なかったようです。

コオロギのアトリエ