不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

264 「誤解」

最近の高校生のことはよく知りませんが、私の高校生時代は登下校の途中に他校の不良グループにチョッカイを出されるということは日常茶飯事でした。

そんな話はほぼ毎日のように聞かされていたのですが、何故か自分には縁がありませんでした。何度かそのような状況に遭遇はしたのですが不思議なことに私を見た途端向こうが逃げて行くのです。

しばらく意味がわからなかったのですが、ある時、他校に進学した中学時代のクラスメートにその理由を聞かされ驚きます。

「お前は『影の帝王』と呼ばれて不良達に恐れられている。お前に逆らうと喉元に強烈なキックをくらわされ、更には『ベルト』で酷くシバかれるらしいが本当か?」

誤解-s


 

何と、いつの間にかそんな根も葉もない噂だけが一人歩きをしていたようです。
その噂のおかげで高校の3年間、何事もなく平穏な高校生活を送ることは出来たのですが思い当たることが何ひとつないのです。

ただ決して裕福な家庭とは言えなかったので中々散髪に行くことが出来ずいつも長髪ではありました。新しい靴が買えずに仕方なく父親のお下がりの異常に先の尖がった革靴は履いていました。お下がりのカバンも留め金が壊れてよく閉まらなかったので仕方なく父親の古いズボンのベルトでカバンを縛っていただけなのですが…

コオロギのアトリエ