不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

267 「モーヤン」

子供の頃は親の言うことを聞かなかったりすると『モーヤンが来るぞ!』と親に脅かされていました。それは子供をおとなしくさせるための親の最終兵器のようなもので、細かな所まで上手く設定されたその恐ろしい人物の容姿は妙にリアルでいつも震え上がっていました。

実は最近までこの『モーヤン』というキャラクターは全国区的な存在で誰もが知っているのだとばかり思っていました。と言うのはモーヤンの話をする相手は必ずモーヤンのことを知っていたからなのですが、最近そうではないということに気づきました。今までにモーヤンの話をしたのは偶然、全員が同じ地域に係わっている人達だと言うことがわかったからです。

モーヤン-s


 

話を総合すると、どうも実際に実在した人物のようで、非常に裕福な家庭の三男として生まれ、優秀な上の2人の兄達に勝るとも劣らない頭脳明晰な男性だったらしいのですが何故か進学も就職もせず、いつもボロを身にまとい伸ばし放題の髪を振り乱しながら大きなズタ袋を抱えて毎日近所の子供達を追いかけ回しては説教をするということを一生続けた人物だそうです。

親の作り話だとばかり思っていたことが事実だった事に驚いたのですが、何と更にショックな事実を知ることになります。最近たまたまモーヤンの話になったとき母親がこんな事を言ったのです。

「今まで内緒にしていたけど、実はモーヤンと私はイトコなのよ」

コオロギのアトリエ