299 「鳥(2)」
ある神社を参拝したときに必ず後ろをついてくる巨大な鳥の話を前に書いたことがありますが、その話をまだ読んでいない人のために簡単に説明しますと、その神社には大きな池があり駐車場に戻る際にその池に沿った道を歩いていると必ず巨大な鳥が後をついて来るというものですが、その大きさが尋常ではなく1メートルは優に超えているのです。
首の長い白鳥や七面鳥ならそのくらいのサイズはいるのかも知れませんが、それはアヒルやカモのようなそれほど首の長くないタイプの鳥なものですからその大きさに違和感があるのです。しかもその鳥は私以外には見えていないという話です。
ところがつい最近ある知人I君と雑談をしている時に偶然その話になって驚いたのですが、何とI君もその鳥のことを知っていたのです。I君の話を聞く限りでは同じ場所で同じ鳥を見ているようでした。しかも誰に話してもそんな鳥は見たことがないと言われるのでその鳥のことは封印していたようです。
I君との話の中で面白かったのが『その鳥はなぜ途中で姿を消すのか』という私の問いに『ああ、それはきっと右足に怪我をしているから長い距離を歩けないのですよ』と言ったことです。確かに私が見たその鳥は右足を踏み出す時に少し重心が右側に傾く癖があったからです。
コオロギのアトリエ