不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

354 「懐かしい場所」

3~4歳の頃、良く母親の姉の家に連れて行かれていました。バスで30分程の距離にある閑静な住宅街で、週に3日位のペースで連れて行かれたように思います。母は昼間の数時間を姉とのおしゃべりで過ごすのが楽しみだったようです。

その間は部屋の中にいても退屈ですから表で遊ぶのですが、最初の内は家の周りで遊んでいてもだんだん慣れてくると冒険を始め、その内自分のお気に入りの場所を見つけます。その場所は草むらの中にかなり広範囲にわたってコンクリートが敷き詰められているのですが、おそらく何かの建物の土台の跡のひび割れたコンクリートの隙間から雑草が生えていたのだと思います。

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そして何故かどんなに天気が良い日でもいつも霧がかかっているその場所から見上げる空はいつも薄い紫色という不思議な場所でした。そこにいると何故か懐かしい感じがするのが好きでいつも1人で遊んでいたのですが、ある日母親にいつもどこで遊んでいるのかと聞かれ、その場所のことを話すと母の姉はこの住宅にはそんな場所はないと言います。

私が余りにも言い張るものですから2人がその場所に連れて行けと言うので案内するのですが、不思議なことにその場所に行き着くことは出来ませんでした。

それからその場所へは2度と行くことは出来なくなったのですが、コンクリートの割れ目に咲いた小さな白い花がそよ風にやさしく揺れるのを今でも覚えているのです。

コオロギのアトリエ