不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

369 「燐紛」

随分前に何かの用事で妹の運転する車の助手席に乗せてもらった時のことです。普通に国道を走っていると突然フロントガラスの真ん中あたりに蝶がぶつかってきました。ぶつかった時に「コトッ」という音がきこえたので結構強くあたったのだと思いますが蝶はそのままどこかへ飛んで行きましたので命には別状はなかったようです。

見るとフロントガラスの真ん中に蝶の体の形に青色や緑色の燐粉が残っています。そのキラキラ輝く燐粉を見て妹が妙なことを言います。

「燐粉、こっち側にあると思わない?」

言っている意味がわからなかったので聞き返すと、蝶の燐粉はフロントガラスの外側ではなく内側に付いていると言うのです。

                   燐紛-s

バカらし過ぎて私は相手にしなかったのですが、妹が左手の人差し指でフロントガラスの燐粉の場所を『スッ』と拭い、私の目の前に差し出した指先にキラキラ輝く緑や青の粉がビッシリ付いているのを見て私は驚きます。

妹は自分にはそのような超能力があるのだと言いますが、その能力を発揮出来るのは蝶の燐粉だけだと言います。燐粉限定の超能力は超能力と言うより『蝶能力』だと思うのですが…

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