不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

372 「幼子」

30代の頃に保育園の建物に絵を描いたことがあるのですが、3~4歳の幼児がメインの保育園なので出来るだけわかりやすく可愛いアニメのような絵を描いてほしいという依頼でした。それまでにそのような絵は描いた事がなかったので少し戸惑いながら何とか完成させるのですが、制作の途中に園児たちにかけられた言葉にショックを受けます。

「おいちゃんは絵がうまいなぁ…」と言われたのです。この世に生れてまだ3~4年の幼子に絵の技術を褒められると言うことは、その絵は子供たちのハートに届いていないという事です。本来なら絵を見て無邪気にはしゃぐのが本当だと思うのですが、感想を言う余裕があると言う事はその絵は上手くいっていないのです。

                 幼子-s

今回はそのことではなく、その絵の制作中に私を取り囲んだ十数人の園児たちとのやり取りの中で起こったチョット不思議な出来事です。

あまり幼児との接触の経験がないものですから彼らとのコミュニケーションが上手くとれず、会話が成立しないのにイライラして「君たちとは話にならない」と幼子に暴言を吐いたことがあります。すぐに大人気なかったと反省して作業を中断して園児たちに謝るために振り返るのですが、振り返って驚きます。

そこにいた全員が靴を脱いで私をジッと見ているのです。その光景はチョットした恐怖で、何が起こったのかわからない凍りついた時間の中で何とか答えにたどり着きます。園児達は「話にならない」を「裸足にならない?」と聞き間違えたのだと思います。

コオロギのアトリエ