不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

384 「梅干し」

爆発と言えば随分昔に知り合いのMさんの家で昼食を御馳走になった時のことです。奥方の手料理を堪能した後、食後のデザートをいただきながらテーブルを囲んで楽しく3人で雑談をしていた時にたまたま視線の先の窓辺に置かれた大量の梅干しが入った大きなガラスの容器が窓から差し込む陽の光を受けてとても美しかったのでしばらくそのビンの話題で盛り上がったのですが、話の途中で突然Mさんが「あの梅干しのビン、少し膨らんでいないか」と言いだします。

そう言われればそのように見えなくもないのですが、ガラスの厚さが1センチ以上もありそうなシッカリしたビンなのでそんなことはまずありえません。ところが「キチッ」というガラス同士が擦れあう音がしたと思った瞬間、「ドンッ」と言う音と共に梅干しのビンが爆発したのです。

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ビンの破片は部屋中に飛び散り、壁や襖に突き刺さるのですが3人に怪我がなかったのは奇跡でした。1センチ以上の厚さがあるビンの欠片を拾い上げながらMさんは言います。

「ガスが貯まっていたのかなぁ」

ビンの中にガスが発生していたのかどうかはわかりませんが、ビンの中の気体が膨張したのが原因であろうと思われました。ただその時、何となく何かに対する警告のようなものを感じたのが自分でも不思議でしょうがなかったのですが、翌年にMさんが亡くなったと聞いた時にその時の妙な感覚を思い出したのは事実です。

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