不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

387 「学生帽」

 

尊敬するRさんが中学生の頃の話です。当時R少年の家は燃料店を経営していて、R少年は学校から帰ると進んで配達の手伝いをするとても良い子だったそうです。配達の際には学生帽を被るのがR少年のポリシーで、お客さんにも好感が持たれ「きちんとした良い少年だ」と評判も良かったそうです。

そんなR少年は好奇心も旺盛で、ある日、新商品を開発するという名目でお店の商品の灯油やガソリンを混合して色んな実験をするのですが誤って大爆発を引き起こします。幸い店舗や商品には影響はなかったのですが、R少年は顔面に火傷を負ってしまい治療のために顔面全体と両手に包帯を巻かれます。

                学生帽-s

目と口の部分は細く隙間を開けてもらっていたそうですが首から上は包帯でグルグル巻きの状態で、それは当時テレビでやっていた「透明人間」のそれとほぼ同じだったといいます。その状態でも配達は休まなかったそうです。

R少年はその包帯の上からトレードマークの学生帽を被って配達をするのですが、行く所行く所でビックリされたそうです。中には悲鳴を上げながら逃げまどう主婦もいたといいます。

私が思うに学生帽が不気味さに拍車をかけてしまっていたのではなかろうかと思うのですが、そんな状態でありながら学生帽を被らなければならないと思ったR少年の心のあり方が私は大好きなのです。

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