不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

389 「テレビ」

自分が子供の頃に常識だと信じていた事は一体何だったのだろうと思う事が多々あります。たとえばテレビの画面には常に布がかかっていて、テレビを見る時はその布をうやうやしくまくりあげ正座までは行かないまでも姿勢を正してテレビを見るというのがあたりまえでした。

その布は結構立派な刺繍がされていて、テレビ画面の寸法にピッタリ合っていたところを見るとおそらくそれ専用に販売されていたものだと思います。

                  テレビ-s

その内テレビ画面の表面に薄っぺらなプラスティックかアクリル製のレンズの様な物が取り付けられ、ひとクラス上の画面サイズを堪能できることに感動していると、ある日突然白黒の画面がカラーになるという新商品が現れます。

基本的にはアクリルのレンズと変わらないのですが何と表面が虹色に色分けされており、白黒の画面は突如として総天然色になるのです。勿論画面の物の色が反映されている訳ではないのでたまたまそれに近かったりした時に「ほら、今の所、本物みたいな色だったね」と家族で盛り上がる程度のものなのですがそれでもその当時、誰一人としてその状況に疑問を感じる者はいなかったのです。

…良い時代でした。

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