不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

394 「欠落」

時々、人と話をしている時に何かの拍子に意味のわからない単語や事柄に出くわす事があります。それは最近の話題とか目新しい流行語とかではなく、どうも誰もが普通に知っている当たり前の事柄のようなのです。

なぜそのような事が起こるのかを自分なりに考えてみたのですが、多分間違いないであろうと思う答えにたどり着きました。おそらく学校の授業、それは小学校か中学か高校かはわかりませんが、学校を休んでしまった時に授業で習うはずのものだったのではないでしょうか。

                     欠落-s

その習っていなかった事柄にタマタマ係わることがないまま今まで生活して来てしまい、ここに来て生まれて初めてその事柄に出くわしたのではないかと思うのです。自分の場合、そんな時には得意な演技でごまかしながら当然知っているような顔をしてその意味を会話の中から探し出す事が出来るのですが、他の人がそのような状況にあると知った時にはここぞとばかりに楽しませてもらいます。

この間もある男性と並んで歩いている時に突然の夕立に見舞われ、その男性が言います。

「わっ、夕立だ。チョットそこで雨乞いしましょうよ」

建物の軒先に並んで張り付きながら私は空を見上げながら言います。

「雨乞いの必要はないと思いますよ。これだけ降れば十分でしょう」

「はい?」

彼は素っとん狂な顔で私を見ます。『雨宿り』という事柄が抜け落ちた彼に対しての私のイヤラシイ攻撃は夕立が上がるまでジワジワと続くのでした。

コオロギのアトリエ