不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

248 「相乗効果」

不思議な出来事に遭遇する時というのは自分ひとりの時よりも誰かと一緒のときの方がよりリアルな感じを受けるものなのですが、その相手がそっち寄りの人の場合はその不思議さも更にパワーアップするようです。

数年前に知り合いのKさんが経営する美容室で髪をカットしてもらったときの話です。メガネをかけている私はそういうときはメガネを外し最初から終わりまでほとんど目をつぶった状態で髪をカットしてもらいます。


昼間でしたので全面ガラス張りの入り口から射し込む陽射しがカットしてくれているKさんに遮られ、時々シルエット状の影を作ります。目を閉じたままKさんと他愛のない雑談をするのですがその内その影がきになって話に集中できなくなります。と言うのは目を閉じていてもシルエットの大方の形はまぶたの内側で感じとれるのですが、そのシルエットが観音様の形をしていたのです。

そのことをKさんに話すとその途端に今まで軽やかにリズムを刻んでいたハサミの音が止まりKさんは驚いたようにこう言います。

「ウソッ、実は昨日、骨董店で素敵な観音様を見つけたので買っちゃったのよ。その観音様じゃない?」

                                                    かんのん-s

後でその観音様を見せて頂いたのですがそのシルエットは私の見た観音様に酷似していました。結局その黒いシルエットの観音様の絵を描くことになるのですが、その絵は今もその美容室に飾ってあります。

余談ですが、後にその黒い観音様の絵を写真に撮ったお客さんがいて、その写真の観音の目が開いていたと言うので見せてもらったことがあるのですが、驚いたことに目を伏せて描いてあるはずの観音の両目が本当に開いているのを確認した時には余りにもオカルトティックな展開にチョッと笑ってしまいました。

コオロギのアトリエ