不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

099 「携帯電話」

勘違いは良くあることですが、周囲の人まで巻き込んでしまう程の度を超えた勘違いというのは滅多に経験できるものではありません。その日もT君と一緒に朝から湯布院の森の中で作業をするのですが、私は作業の前には必ず携帯電話の着信メールをチェックする…

098 「管君」

偶然とは時として信じられないほどの極みにまで至ることがあります。中学生の頃に菅(かん)君という友達がいたのですが、ある日の放課後「家には金柑(きんかん)の木があって、金柑の実が沢山生っているから取りに来い」と言うので友達のI君も誘って学校…

097 「ストライク」

アーティストのKさんと福岡で仕事をしていた時期の話です。土曜日の夕方に大分に帰り、日曜日の夜に福岡に戻るという生活をしばらく続けていたのですが、ある日曜日の夜、福岡に戻る途中でKさんが「喉が渇いた」と言うので適当なパーキングを見つけて休憩…

096 「ズレ」

この間、いとこのS君がボートを手に入れたというので、その試運転を兼ねて釣りに行ったときの話です。ボートと言っても系ワゴンの屋根に積めるくらいの小さなボートなのですが、知り合いから安く譲り受けた古いボートを自力でリニューアルしたとは思えない…

095 「森」

ある森の中の風景を描くために7日間、100号(162cmx130cm)のキャンバスと画材を抱えて通ったことがあります。初日は描く場所を決定するまでに森の中をかなり歩き回ったのですが、ある場所で不思議なものに遭遇しました。その物自体は別に何の不…

094 「デジャヴ」

福岡で造形の仕事をしているときの出来事です。ある大手のテーマパーク関連のキャラクターの製作をしたことがあるのですが、原型(粘土で製作された状態)の最終段階でクライアントの検査員がわざわざアメリカから見に来るということになりました。それに合…

093 「湧き水」

福岡で造形の仕事をしている頃の話です。佐賀に2日ほど出張することになり、営業のKさんと一緒に現地に向かうのですが、Kさんは佐賀県の出身ということもあり美味しい料理のお店や名所などを案内してくれました。 仕事の現場を確認した後、近くに「霊験あ…

092 「シンクロニシティ」

実は例の「白い彼岸花」が咲いていた川の土手で、8月の初めに「白いスズメ」を見たことがあります。羽の先に微かに元の色が残っていて完全に真っ白ではないのですが、他の雀たちの中でその白さは際立っていました。散歩の途中でしたのでデジカメを携帯して…

091 「自転車」

ある時期ダイエットの為に自宅からアトリエまでの21キロメートルを自転車で通ったことがあります。友人から貰った古い型のロードバイクはアルミ製のボディーに細いタイヤと見てくれはカッコ良く走りも軽快なのですが、往復42キロはチョッと辛いものがあ…

090 「ヘルメット」

初めて原付のバイクを買ったのが嬉しくてたまらなかった頃の話です。当時は新品のバイクに乗るのが楽しくてほとんど毎日のように乗り回していました。そんなある日の午後、少し離れた本屋までバイクを走らせ店内で適当に時間をつぶしていると、本屋のすぐ前…

089 「白い彼岸花」

毎年季節になると田んぼのあぜ道や川の土手に彼岸花を見ることができるのですが、時々その中に白い彼岸花を見かけることがあります。その儚げなたたずまいに魅せられて庭の花壇で育ててみたいと思うのですが、数日で花は枯れてしまうので球根の場所を特定で…

088 「そっくりさん」

ある時期、嫌になるくらいある人に間違えられたことがあります。その人は私も良く知っている人で、着るものや持ち物のセンスが似通っているのは薄々感じていましたが、自分的には間違われるほど似ているとは思っていませんでした。その人も絵を描いていまし…

087 「ホーミー」

15~6年前にホーミーに凝ったことがあります。ホーミーと言うのはモンゴルの民謡を歌うときに使う独特の発声法なのですが、同時に2音とか3音を出す発声法で素人にはかなり難しいものです。発声法には5種類あるらしいのですが私が知っているのは「口ホ…

086 「そこだけ」

随分前にある知り合いの男性の車に同乗させてもらった時の話です。その男性とはそれほど親密なつき合いをしていたわけではないのですが、私より10歳年上ということもあり、話題が豊富でいろんな面白い話を聞けてとても楽しいドライブでした。ところがどう…

085 「マウスピース」

福岡時代の話です。アーティストのKさんと私は、寮の2階の部屋を両端に別れて使っていました。他に誰もいませんでしたからどの部屋でも自由に使えたのですが、Kさんの歯ぎしりが尋常ではいということで、本人自らそれを望んだのです。実際、間にふたつの…

084 「サイフ」

「思い込み」というものはその人の想像力に大きく作用してしまうようで、それが良い方に作用すれば問題は無いのですが、大概はそうではない方に作用してしまうようです。家の者に頼まれて近くのスーパーで買い物をしたときの体験です。買い物を終え、駐車場…

083 「ライフマスク(2)」

「笑い」のメカニズムというのはいったいどのようになっているのでしょうか。笑いには予期しないことが起こったときに笑う笑いと、予想通りのことが起きたときに笑う笑いの二通りがあると思うのですが、考えてみると結構不思議なものです。30代の頃に人に…

082 「50円玉」

小学生の頃の50円玉は今の500円玉くらいの大きさがあり、穴の開いたものと開いていないものの2種類があったように記憶しています。当時50円あれば駄菓子屋でゴムを原動力にしてプロペラを回す飛行機が買えていましたから、価値的にもそれ位はあった…

081 「ツレ」

福岡時代の話です。夕食はいつもアーティストのKさんと一緒で、その日は近くのファミリーレストランで食事をすることになっていたのですが、Kさんが食事の前にチョッとした用事を済ませたいと言うので時間を指定して別々にレストランに向かいました。レス…

080 「ライフマスク」

この話は造形作家Rさんの話です。Rさんが30代の頃、突然自分のライフマスクを作ることを思いたったそうです。ライフマスクというのは顔をコピーして石膏やプラスティックのマスクの状態にしたものです。 今でこそ水性のシリコンで簡単に顔の型を取ること…

079 「バナナ」

20代後半の頃の体験です。お盆に釣りはよした方がよいと言う家の者の制止を振り切って夕方から近くの川に出かけました。川といってもケッコウ大きな一級河川で、海からそう遠くない綺麗に舗装された河岸でスズキを狙ったブッコミ釣りに興じていました。ブ…

078 「約束」

父親から聞いた話です。父親が高校受験のときに父親の父親は近くの神社に合格の祈願をします。その時に大工であった父親の父親は「合格の暁には神社の祠を新しく建て直す」と約束したそうです。父親はめでたく合格するのですが一ヶ月ほどして原因不明の高熱…

077 「滝壺」

お気に入りの「滝」があります。四季折々の滝を堪能する為に最低でも年に4回はその滝を訪れるのですが、滝つぼの周囲にある巨大な石のひとつに腰掛けながらボーっと滝を眺めるのが大好きなのです。あるとき若いカップルがやって来るのですが、どうも石の上…

076 「フラフープ」

子供の頃にフラフープが大流行したことがあったのですが、草むらの中で偶然それを見たときには、「黒いフラフープ」だと思いました。フラフープにしては少々小ぶりでしたので次の瞬間には自転車のゴムチューブだと思いました。しかし、よく見ると全体が波打…

075 「亀」

小学校の低学年の頃のお話です。家の庭で近所の友達数人と地面に穴を掘って遊んでいた時に亀が出てきたことがあります。みんなは普通に驚いていたのですが私はある種の恐怖を感じていました。実はその場所は半年前までは小さな池だったのですが危険だと言う…

074 「タラバガニ」

その造形の会社に入社したその日に巨大な造形物の内部の作業の補助をする仕事を命じられたのですが、私は中に入れてもらえず造形物の入り口で中の作業員と外の作業員の仲介のようなことをさせられました。まだ仕事の内容が良くわかりませんからジタバタする…

073 「ニケ」

立体造形のお仕事をしていた頃のお話です。ある県の小さな会社から依頼されたのは、勝利の女神「ニケ」の像でした。本来大きな翼を広げたニケの像には頭部は無く、それが逆に何とも不思議な魅力になっている美しい像なのですが、会社の意向で頭部のあるニケ…

072 「大きなもの」

この話は事実かどうかわかりませんが、私が経験したということでは事実です。東京時代、バイトで知り合ったA君とはバイトの先輩と後輩の関係でしたが、プライベートでも仲良くしていました。そのA君が私に打ち明けてくれたのは、にわかに信じられない話だ…

071 「トウモロコシ」

その山奥のアトリエで展覧会の準備に追われて夜遅くまで描いていたときの話です。その日は1月のとても寒い日で8畳の部屋の襖は締め切っていて、勿論廊下のサッシも締めていました。そのサッシを誰かがノックしていることに気づいたのは休憩に入った時です…

070 「かすりの着物」

その山奥のアトリエには滅多に人が尋ねてくることはありませんでしたが、ある日突然僧侶が訪ねてきたことがあります。訪ねてきたというより道に迷って仕方なく立ち寄ったらしいのです。最初はスーツ姿の運転手とお話していたのですが、そのうち黒塗りの高級…