不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

396 「ヒーロー」

若い頃にビルの壁面に絵を描くという仕事をしたことがあります。枡目で区切られたビルの壁面に枡目で分割された原画通りにスプレーガンで彩色して行くだけなのですが、建設中の7~8階建てのビルの壁面に組まれた足場の上での作業は結構スリルがありました…

395 「直線道路」

その道路は一級河川と並行したほぼ直線の道路です。田園の中を一直線に貫くその途中に少し上り坂になった個所があるのですがその場所だけ道路の脇が広葉樹の林になっています。その日は夜中の11時頃にその道路を走行していて、いつものようにその坂に差し…

394 「欠落」

時々、人と話をしている時に何かの拍子に意味のわからない単語や事柄に出くわす事があります。それは最近の話題とか目新しい流行語とかではなく、どうも誰もが普通に知っている当たり前の事柄のようなのです。なぜそのような事が起こるのかを自分なりに考え…

391 「0」

あのRさんが若い頃に体験した不思議な話です。20代のRさんが若さに任せて九州圏内を無銭旅行するのですが、ある時、宮崎県辺りの山に登ってみたそうです。登ったと言うよりも迷い込んだと言った方が正しいのですが、昼過ぎに山に入って夕方になっても山…

390 「洗濯機」

信じられないかも知れませんが私が子供の頃には洗濯機はありませんでした。幅が30センチ位で長さが70センチ位の表面にギザギザの凹凸のある木の「板」で洗濯していました。洗濯機が我が家に導入されるまでの数年間は洗濯板が常識だったのですが、洗濯機…

389 「テレビ」

自分が子供の頃に常識だと信じていた事は一体何だったのだろうと思う事が多々あります。たとえばテレビの画面には常に布がかかっていて、テレビを見る時はその布をうやうやしくまくりあげ正座までは行かないまでも姿勢を正してテレビを見るというのがあたり…

388 「見え方」

若い頃の話です。自分の見ている色は他の人が見ている色と同じなのだろうかという疑問が湧き、友人に頼んである風景をほぼ同じ位置から感情を無視して目に見えるそのままの色彩を忠実に再現するという条件で絵を描いてみたことがあるのですが、その方法では…

387 「学生帽」

尊敬するRさんが中学生の頃の話です。当時R少年の家は燃料店を経営していて、R少年は学校から帰ると進んで配達の手伝いをするとても良い子だったそうです。配達の際には学生帽を被るのがR少年のポリシーで、お客さんにも好感が持たれ「きちんとした良い…

386 「毛虫」

数年前Tさんからこんな話を聞きました。Tさんの家の前には大きな道路があり、その道路を挟んだ向かいの家の庭に何本かの木が植わっているそうです。その中の1本の木に毎年春になると大量の毛虫が発生するそうなのですが、何故かその木以外の木に毛虫が発…

385 「黒いトンボ」

この話はうろ覚えなので本来の内容と少し違うかも知れませんが、わたしの記憶の中の話ということでご理解ください。美術館をされているFさんから聞いた話なのですが、ある作家さんが絵画の展覧会を開催します。その作家さんは数年前に亡くなられていて、奥…

384 「梅干し」

爆発と言えば随分昔に知り合いのMさんの家で昼食を御馳走になった時のことです。奥方の手料理を堪能した後、食後のデザートをいただきながらテーブルを囲んで楽しく3人で雑談をしていた時にたまたま視線の先の窓辺に置かれた大量の梅干しが入った大きなガ…

383 「ゆでたまご」

かれこれ30数年程前の事になります。当時は妻の母親と同居していて食事も3人一緒だったのですが、どこかに遠慮のようなものがあり、どうかするとご飯のお代わりを躊躇してしまうこともありました。そんな日は夜中にお腹が空いてしまうので妻と母親が寝静…

382 「蜂の巣」

その滝には季節ごとに訪れるので最低でも年4回は足を運ぶ事になります。日本の滝100選にも選ばれているその滝の優雅さはどことなく観音のイメージがあって個人的にとても気に入ったスポットとなっているのですが、ある時同行してくれたTさんが滝の上の…

380 「お子様ランチ」

福岡で仕事をしている時のお話です。夕食は100%外食で、いろんな食堂やレストランを適当に周っていたのですが月に1~2度、餃子が美味しいことで有名な大型中華飯店に行っていました。その日も大勢の客でごった返した店内の隅っこで餃子定食をいただい…

379 「黄色い蝶」

別々の出来事がいくつもの偶然によって一つに繋がった時、それまで漠然と感じていたメッセージのようなものをメッセージとして確信する瞬間があります。画家のNさんは展覧会の準備で忙しいさなかに最愛の母親を亡くし、哀しみの中での制作を余儀なくされま…

378 「露天風呂」

「思い込み」といえば高校の修学旅行の時にこんなことがありました。その大きな旅館には立派な温泉があるのですが、就寝時間も間近になった頃にH君が「露天風呂に入らないか」と言い出します。その旅館には露天風呂はなかったはずなのですがH君の情報によ…

377 「ワインオープナー」

集団催眠というものがあるらしいのですが、誰かが意識してそうしたのではなく全くの偶然がそのような状況を作り出すことはあると思います。先日、気の合う仲間数人とカラオケに行った時の話です。そのカラオケボックスは持ち込みが自由と言うことで大量の食…

376 「青」

この間、定期検診のために病院に行った時のお話です。全ての検査を終えて会計を済ますために長椅子に座って名前を呼ばれるのを待つのですが、その日は20人位の人が順番を待っていてその中に高校生くらいの女の子の3人組がいました。どうも後の2人は付き…

375 「ブランコ」

絵に描いたような出来過ぎたシチュエーションというのがあります。夜のワンの散歩の途中にある小さな公園の2つ並んだ赤と青のブランコを見る度に『誰も乗っていないのに揺れていたら怖いだろうな』と毎回思っていたのですが、ついに先日、青い方のブランコ…

374 「カモフラージュ」

夕食を終えて義理の兄の家に届け物をした時の話です。たまたま兄はノートパソコンで何やら検索をしているのですが最近パソコンを始めたばかりなので上手く検索できないようでした。どうもある歌手動画を検索したいらしいのですが何故かその歌手の名前を伏せ…

373 「指輪」

永年使っている『物』にはそれなりに愛着があるもので、それが常に身に付けている物だったりすると尚更です。不思議なのは自分の持ち物にはあまり感じないのですが、他人の持ち物に限ってその『物』に対する持ち主の想いや記憶のようなものを感じることがあ…

372 「幼子」

30代の頃に保育園の建物に絵を描いたことがあるのですが、3~4歳の幼児がメインの保育園なので出来るだけわかりやすく可愛いアニメのような絵を描いてほしいという依頼でした。それまでにそのような絵は描いた事がなかったので少し戸惑いながら何とか完…

371「プレーリードッグ」

随分前に従弟のS君の家にお邪魔していた時の話です。居間で雑談をしている最中にS君が「来た、来た」と言いながら突然立ち上がります。どうしたのかと見ていると開け放った縁側のサッシから外を覗きながら私を手招きするので外を覗くとS君の指さす先に何…

370 「針の穴」

生活をしていく上で当たり前のことはわざわざ『当たり前だ』などと意識することはありません。喉が渇けばコップに水を注ぎそれを飲むわけですが、コップに水を注ぐ時に『水はチャンとコップの中に納まってくれるのだろうか』などとは考えません。ところが何…

369 「燐紛」

随分前に何かの用事で妹の運転する車の助手席に乗せてもらった時のことです。普通に国道を走っていると突然フロントガラスの真ん中あたりに蝶がぶつかってきました。ぶつかった時に「コトッ」という音がきこえたので結構強くあたったのだと思いますが蝶はそ…

368 「共感覚」

音に色を感じたり、香りに音を感じたり、ある刺激に対して本来の感覚とは別の感覚が機能することを共感覚と言うらしいのですが、自分もそれを感じることはありますが感じているだけで共感覚者のように見えたり聞こえたりはしていないようです。ところが一度…

367 「知ったかぶり」

自分としては出来る限り等身大の自分を正直に表現することに努めているつもりなのですが残念ながら人間が出来ていないのでこの年になってもまだ見栄を張ったり知ったかぶりをしたりすることは未だにある訳で、もしかすると逆に年を重ねる程にそういった傾向…

365 「タンチョウヅル」

それが思い込みだったとわかった瞬間にそれまで思い描いていた印象が一変してしまう事があります。私は今まで丹頂鶴の額の赤い色は羽の色だとばかり思っていたのですがそれがむき出しになった皮膚の色だと知ってショックを受けます。 それまでの丹頂鶴のイメ…