不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧

039 「竹馬」

人はめったに目にしないものを目の当たりにした時、それが何なのかを理解できないことがあります。この話は福祉関係の仕事をしているEさんの体験です。普段は市内で仕事をしているEさんが小一時間かけて郊外の自宅に帰るのはたいがい夜中になるそうです。…

038 「雨乞い」

人として生活していく上でどうしても避けて通れないのが地域との係わりです。「定期の集会」や「草むしり」、「神社の掃除」や「地域の運動会」、近所づきあいが余り得意ではない私にとってはどうも苦手な分野なのです。それは去年の夏のことです。「地域の…

037 「コガネムシ」

偶然がひと所で三つ以上重なるとそれは偶然ではなくなります。夏のある日、アトリエで遅くまでキャンバスに向かっていると知り合いのTさんが差し入れを持ってやってきます。 しばらく雑談をして話題も尽きてきた頃です。アトリエの中に入ってきた一匹のコ…

036 「カレー」

東京時代…なんかこう書くと「江戸時代」みたいな年号っぽく聞こえますが、東京で生活していた時代ということです。東京時代は7年間で5回引越しをしたのですがその中に高円寺のアパート時代が2年間あります。共同トイレでもちろん風呂なしのオンボロアパ…

035 「逆浦島」

随分前にハワイに遊びに行ったときの驚異の体験です。ホテルはオアフ島のワイキキビーチの側でしたので、着いてすぐにビーチに繰り出しました。私は泳げないのでビーチの外れでブラブラしながら生まれて初めてのハワイを堪能していると、貸しボート屋のお兄…

034 「訪問者2、3」

11月のとても寒い日でした。朝アトリエのドアを開けると何故か『キジ』がいました。きれいな80センチほどのオスのキジで、私に驚いてアトリエの中を飛び回るものですから筆立てやら絵の具やらが大変なことになってしまいました。シャッターを開け、外に…

033 「訪問者」

挾間のアトリエには大物を出し入れするために入り口のドアとは別にシャッターを取り付けていました。雨の日や風の強い日はシャッターを閉めていましたが、いつもは開けっ放しでした。 その日は天気も良く暖かい日だったのですが何故か昼近くまでシャッターは…

032 「蚊帳」

この話は私がまだ3歳になっていない頃の体験です。昔はほとんどの家庭が夏になると蚊帳(かや)という蚊よけのネットを張りその中で寝ていました。その日もいつものように両親の間に挟まれて寝ていたのですが、真夜中にふと目が覚めます。なにげなく蚊帳の…

031 「鍵」

時間の在り方には漠然と疑問を感じてはいたのですが、小学2年生の時に体験した不思議な出来事はその後の時間と言うものの考え方に大きな影響を与える事になりました。家から小学校までの歩いて30分ほどの通学路は雨が降ればそこらじゅうに水溜りが出来る…

030 「ネームプレート」

つい最近、親戚の叔父の葬式で叔母から聞いた不思議な話です。式まで少し時間があったので親戚一堂はロビーにたむろしてそれぞれが昔話に花を咲かせていました。その内一六年ぶりに会うある遠くの町に住むおばちゃんが突然こんなことを言い始めたのです。「…

029 「ウエットスーツ」

三十年くらい前の埋立地は最高の釣りのポイントでした。立ち入り禁止の立札を無視して長方形の埋立地の右の角を目指すのですが、歩いて二十分ですからおよそ2キロ位でしょうか、その距離のせいであまり釣り人は多くはありませんでした。その年の夏も性懲り…

028 「ナメクジ」

山の中の民家をアトリエとして借りていた頃の話です。梅雨の時期になるとナメクジが出没するのですが、その出現の仕方に納得がいかない時があります。100号(162cm×162cm)のキャンパスに向かっている時にはいなかったはずのナメクジが、後ろに下がって画…

027 「砂金」

小学5年生の夏休みも間近なある日のことでした。その頃には一年前に始まった北側の山を削る工事もひと段落していて、ブルドーザーやダンプカーの姿は殆んど見かけなくなっていました。切り開かれた広大なスペースの東側には切り立った山肌がほぼ直立の形で…

026 「背中」

その釣り場は砂漠のような埋立地を長時間歩かなければたどり着けないため、あまり釣り人は多くないのですが、よく顔を合わせる常連の御老人とは結構親しくなっていました。その日は十一月もそろそろ終りのとても寒い日で、まだ日の高い内に釣り場に着いたの…

025 「アトリエ」

山の中のアトリエに2年も居ると、ある日突然違った環境に憧れたりするものです。その日は朝から佐賀関の海の近くをブラブラしながら海のアトリエを想像してみたり、安心院の草原に足を伸ばして大草原の中の新しいアトリエをイメージしたりして夢を膨らませ…

024 「ファミリア」

これは不思議な話ではなく、悲惨な話しです。私が運転免許を取得したのは二十六歳の時で、初めて買った中古のグリーンのファミリアを当時は宝物のように大切にしていました。運転するのが楽しくてしょうがないものですから、暇を見つけては用もないのにあち…

023 「タクシー」

『思い込み』というのはよくあることなのですが『思い込まれ』という経験は意外と少ないものです。三十四、五歳の頃、日出町にある知人の工房での用事を済ませ、降りだした雨の中を愛車の黒のトヨタ・カルディナでそこを出たのが夜の九時頃でした。国道一〇…

022 「鳥」

私はなぜか昔から神社が苦手なのですが、どういう訳か年に1、2回ある決まった神社に参拝する破目になってしまうのです。その神社は由緒正しき神社(正確には神宮なのですが)で敷地もたいそう広く参拝を終えるとその辺を散策し、それなりに魂の浄化を経験…

021 「ウニ」

人は初めて目にするものや意味がわからないものには不安や恐怖を感じてしまうものです。その日は仕事の関係で帰宅が夜中の十二時近くになり、すでに床についている妻を起さないように小さな電気の明かりで寝巻きに着替え、いざ寝ようとした時です。何気なく…

020 「河童」

二十代後半の夏、友人3人でドライブに行った時の話しです。目的地も決めずにとりあえず阿蘇方面に車を走らせていたのですが、昼にはまだかなり時間があると言うのにどこかで食事をしようと言うことになりました。すでにT市には入っていたのですが繁華街に…

019 「消滅ー2」

私は『滝』を観賞するのが好きで、特に安心院の東椎谷の滝には年間二十回近くは行くのですが一人で行くのもつまらないので大抵、誰かと一緒なのです。その日も作家のTさんが同行してくれました。心行くまで滝を堪能した後、帰路に付いたのが午後四時を少し…

018 「デコボコ」

高崎山の麓にアトリエがあった頃のお話です。アトリエから高崎山の脇にある銭瓶(ぜにがめ)峠を下って別府の流川通りにぬける道を利用すると、およそ二十分で別府に行くことが出来ます。大分の市街地に出るのにもその位の時間がかかりますので、途中に少々…

017 「蜘蛛」

人の想念や思念と言うものは本人が意識する、しないに係わらずありとあらゆる物や事柄との関係に微妙なバランスを保ちながら目に見えない形でシンクロしているような気がします。生活の拠点である『家』ともなると、それは時として眼に見える形をとることが…

016 「ニワトリ」

これは不思議な話と言うよりはどちらかと言うと残酷な話です。高校二年生のときの話です。その頃ケンタッキーフライドチキンがあったのかどうか良く覚えていませんが、休み時間に何故か鳥の唐揚げの話で盛り上がり、その内H君が唐揚げを私にご馳走すると言…

015 「石」

高校1年の夏の終わりから秋の始めの頃の出来事です。私の通っていた高校は美術と音楽を専門に学ぶ当時としては比較的珍しい高校でしたので全国から生徒が集まっていました。中でも大阪から来ていたM君とは妙に馬が合いいつも行動を共にしていたのですが、…

014 「磁力」

従弟のS君が体に磁力を持っていることは成人してから知りました。人には微量な磁力があるらしいのですが彼の場合、微量とはいえませんでした。本人が言うには子どもの頃から自分の磁力には気づいていて、床に落ちた画鋲や針は指でつままずに指先にくっつけ…

013 「ガウン」

二十六歳の時に急性胃炎で一ヶ月あまりの入院を余儀なくされたことがあります。私の病室は二階にある個室で部屋の両サイドにも個室があり一般の病室から少し離れているせいもあって比較的静かで結構自由な入院生活をさせて頂きました。といっても楽しいのは…

012「消滅」

突然、目の前のものが消えてしまった経験は誰にも一度や二度はあると思います。今まで使っていたはずの消しゴムがどこにも見当たらないとか、さっきまでそこにあったはずの百円ライターがなくなってしまったとか…。私は一時期福岡で造形の仕事をしていたの…