不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

270 「傷」

幼なじみにK君という友達がいたのですが今はどこで何をしているのか知りません。そのK君が小学校4年生の頃から小学校を卒業する頃まで鼻の周りに直径5センチ位の円形の傷がありました。鼻を中心にほとんど真円の傷です。その傷の原因を知らない人にとっては不思議でたまらない傷跡なのですが、実はこういう事です。


私が小学校の4~5年生の頃は、まだ自動車を珍しく感じるような時代で、近所で自動車を見かけるとその辺の子供達は皆でその自動車の後を追いかけていました。なぜ追いかけるかというと自動車の排出する排気ガスの臭いを嗅ぐ為なのです。

運よく自動車が止まろうものなら寄ってたかってマフラーに顔を近づけ排気ガスを思い切り吸い込んでいました。今思えば非常に不健康な行為ですが当時の子供達にとって、それは新しい時代の臭いのように感じられていたのかも知れません。

その日は例のK君がベストポジションをゲットし、マフラーの正面に顔を近づけていたのですが、何と自動車が発進するときに少しバックしてしまったのです。その日からK君の鼻の周りにはマフラーの丸い傷跡が残ってしまったのです。

                         傷-s


 

余談ですがその小学校の同級生に額に結構大きなUの字型の傷跡を持った男の子がいたのですが、理由を聞くと『馬に蹴られた』とのことでした。そんな時代でした。

コオロギのアトリエ