286 「ポイント」
随分前に『タイタニック』というレオナルド・ディカプリオ主演の映画を観に行ったときの話です。ゆっくり映画鑑賞が出来るようにピークを少し外して観に行ったのですがそれでも館内には60、70人位の人はいました。
感受性というのは人それぞれ異なりますから同じものを観ていても感じ方や感じるポイントが他の人と微妙にズレたりすることは別に気にはならないのですが、それが思いもかけないシーンで突然泣かれたりするとチョッとビックリしてしまいます。それはタイタニック号が氷山と衝突し船体が沈み始めたときに船首が高く持ち上がるシーンで起こりました。
私の座席の3つ前の座席の女性が突然そのシーンで泣き出したのです。ビックリする位に大きな声で泣き出したものですから館内のほとんどの人はその女性の方を見たと思います。まあ、泣くポイントは人それぞれですから別に泣くのは構わないのですが、その泣き声が異常に大きかったのです。スクリーンから聞こえてくる音がかき消されるほどの号泣だったものですからチョッと引いてしまいました。
5分間ほど観客は我慢していたのですが、その女性の真後ろのオヤジは我慢できなかったようで、かなり直接的な言葉で文句を言ってしまいました。それが原因かどうかわかりませんが女性は更に大声で泣き出します。
オヤジの怒りが頂点に達した所で女性は泣きながら映画館を出て行くのですが、残念ながらその間約10分間とその後の女性ことが気になったのとで映画のストーリーをよく覚えていません。
コオロギのアトリエ