不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

321「ササミ」

人は自分の興味のないものや生活に直接関係のないものにはあまり関心を持たないものですが、人によってはかなりいい加減な物の捕らえ方をしているという事に気づきました。

たとえば義理の兄はつい最近まで牛(ホルスタイン)の模様は全部同じだと思っていたのですが、キリンやシマウマの模様も個体ごとに違うという事は未だに信じてくれません。実は私にもどうしても違いがわからないものがあります。

非常に個人的なことで申し訳ないのですが『普通の冷凍ササミ』と『冷凍焼けしたササミ』の違いがわからないのです。この間、夜中にお腹が空いたので冷凍室にビニール袋に入ったササミを見つけ6個の内の2個を解凍してから塩コショウとガーリックで味付けしてバターで炒めて美味しくいただきました。

ところが次の朝「ビニール袋の口を開けたままにしていたせいでササミが冷凍焼けした」と妻にこっ酷く叱られるのですが、目の前で「こうなるのよ!」と冷凍焼けしているであろうササミを見せられるのですが、どんなに見比べても私にはノーマルのササミとの違いがわからないのです。

                   ササミ-s

商売柄『見る事』に関しては絶対の自信を持っているので『違いがわからない』などとは口が裂けても言えませんから適当にわかったような顔をしていたのですが、内心その違いがわかる妻が不思議でなりませんでした。よほど自信のない表情をしていたのでしょう、妻は「何がどうわかったのか言ってみなさいよ」と更に攻撃をしてきます。

そもそもこっちは冷凍焼けが食品にどれほどの影響があるのかも知りませんし、味にどれだけの違いが出るのかもわからないのです。何だか面倒くさかったのと違いがわからない恥ずかしさから「わかった、もう2度と冷凍食品は食べないよ」と言ったのが命取りでした。

そんな事を言っているのではないと更に叱られる羽目になります。叱られながら真剣にササミの観察を続けたのですが残念ながらその違いを発見出来ずじまいでした。

コオロギのアトリエ