不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

131 「フルフェイス」

 
あけましておめでとうございます。新年早々こんなお話からで申し訳ありませんが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 

30代の数年間、嫁の実家で生活した時期があります。一階の我々の部屋は比較的交通量の多い道路の側にあるということで、その環境に慣れるまでに少々時間がかかりました。それは窓に反射する車のライトやエンジン音にもそろそろ慣れてきた頃のお話です。

 

時期的には11月のとても寒い日で、その日は何故か家には私一人だけでした。そろそろ寝支度を始めようと思っていた時に誰かが窓を叩くのです。夜中の11時に窓を叩かれるのはチョッと怖かったのですが、そのままにしておくわけにもいきませんから恐る恐る窓を開けます。

窓の外に立っていたのはフルフェイスのヘルメットをかぶった若いライダーだったのですが彼は最後までヘルメットをとらないまま一方的に喋るのです。


herumetto-s



ヘルメットのせいで聞き取りにくい彼の話を要約すると、2年ほど前からバイク事故が絶えず、もしかしたら霊的な事が原因ではなかろうかと人に相談したところ、ここを紹介されたと言うのです。どうもここを霊的な問題を解決する場所と勘違いしているようでした。

間違いだということを理解してもらいライダーにはお引取り願ったのですが、納得がいかなかったのは彼の非常識な態度ではなく、彼がやって来たときも帰って行くときもバイクの音がしなかったということです。

コオロギのアトリエ