218 「吹き矢」
『落とし穴』同様『吹き矢』もやはり3チームに分かれて戦いながらそれぞれに吹き矢のグレードを競うのですが、このときは3チームそれぞれの個性が出てとても面白かったです。
吹き矢といってもその辺の竹やぶから適当な竹を切って来て加工するだけなのですが、それぞれに方向性が異なります。
あるチームは『威力』を重視し、あるチームは『飛距離』に力を注ぎます。私達のチームはなぜか装飾性を追及するのですが、竹の表面に『肥後守』という当時少年の必須アイテムである折りたたみ可能な小刀で文様を刻むのに夢中になってしまいます。
半年ほど続いたブームの後半には火であぶったり独自の方法で磨いたりして武器というよりは美術品のレベルにまで達していました。模様も独自の進化を遂げ、もはやアートに近かったと思います。
その頃には他の部族、いや、他のチームも我々の装飾を真似るようになり、いつのまにか戦いは終結し『美しい竹の棒を観賞する会』のようになってしまったのですが、それも次の『棒幅跳び』のブームに押されいつのまにか消滅していくのでした。
コオロギのアトリエ