332 「ピンポン玉」
会話の最中に何の脈絡もなく想定外の話をされると一瞬意味がわからない時があります。それでもいくら想定外と言っても普通2,3秒もあればその意味は理解出来るのですが、その時の会話の中に出てきた『これくらい』と言いながら親指と人差し指をくっつけた『OK』サインの意味がいくら考えてもわかりませんでした。
それは昔からの知り合いのKさんの職場を訪ねコーヒーを飲みながら普通に世間話をしている最中にタマタマ『脳』の話になったのですが、その時にKさんが「私の脳、これくらいなのよ」と言いながら指でOKサインを作ったのです。
意味がわかりませんからどういう事なのかをシツコク聞くと、何年か前に病院でCTスキャンを受けたKさんの頭部の映像が上手く撮れないと言う事で頭部だけを何度もスキャンして判明したのが『脳が異常に小さい』と言うことだったらしいのです。何と大脳がピンポン玉くらいの大きさしかなかったらしいのです。
最初は医師にも信じられなかったそうなのですが、一番驚いたのはKさん本人です。しばらくはその事実をなかなか受け入れられなかったらしいのですが、しまいには医師が笑いながら「この際サイズは関係ないでしょう。Kさんは普通の人より記憶力も良いし、頭も良いのだから別に問題はないでしょう」と言うのでKさんも「そうですね、小さい分、回転も速いのかもね」と笑うしかなかったそうです。
それにしても私には信じられないのです。ピンポン玉サイズの脳をイメージしようにも頭の中でどのような状態で鎮座しているのかが私にはイメージ出来ないのです。
コオロギのアトリエ