103 「アマガエル」
挾間のアトリエ時代にもいろんな生き物と遭遇したのですが、一番驚いたのはある年にアマガエルが異常発生した時です。その年の夏、時刻は夜の10時頃だったと思いますが、何気なく入り口のドアのすりガラスに目をやるといつもと様子が違います。ガラスに白い斑点模様があるのです。
近付いてよく見るとガラスの向こう側に3センチほどの白い楕円形をした物がビッシリ張り付いていました。それがアマガエル(背中は緑色でお腹は白)だということはすぐにわかりましたが、その数が尋常ではありません。
表に出て確認するのにそのドアを開けるのはちょっと怖かったのでシャッターの方を開けて外に出たのですが、何とアトリエの周りは足の踏み場がないほどの数のアマガエルで占領されていたのです。アトリエの周りは田んぼが多く、おそらく窓から漏れる明かりに明かりに集まってきたものと思われます。
500匹近くはいると思われるアマガエルを踏まないように気をつけながら入り口の方を覗き込むと、明かりの漏れるすりガラスを目指すアマガエル達がアトリエの壁にビッシリと張り付いていて、アトリエの白い壁が緑色に変わっていました。
不思議なのはその現象は唯一その日だけのことで、7年間そのアトリエを使わせていただきましたが後にも先にもそのようなことは一度もなかったということです。
コオロギのアトリエ