133 「整髪料」
朝、洗面台の棚に見慣れない容器を見つけたのですが、それは嫁が最近密かに購入した高級整髪料だということはすぐにわかりました。
自分専用で購入した物は絶対に私には使わせてくれないことはわかっていましたから毎朝内緒で気づかれない程度の量を使っていました。最新の整髪料だけあって上品な微香性のそれは少量でも髪をイイ感じでまとめてくれました。
しかし悪事はいつまでも続くはずもなく、4日目の朝にとうとう見つかってしまいます。嫁の冷ややかな視線が怒りに変わる前に4日前から使っていることを素直に白状したのですが、嫁はあきれたような顔でこう言います。
「別に使うのは構わないけれど、それはただの水よ」
どうもその容器は髪を染めた後の容器で、容器の内側を洗うために水を入れていただけのものらしいのです。
何故そのようなことをするのかと聞くと、資源プラのゴミ捨ての為に内側をきれいにする為だそうですが、ほとんど水だというその液体で確かにこの4日間は髪が整っていたのです。
試しにその日はいつもより多くの量で試してみたのですが、整うどころか鼻を突く変な臭いがしてただ髪が濡れただけでした。思い込みというのは恐ろしいものです。