不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

214 「声」

もう随分前の話ですが、ある島に渡る為にフェリーに乗ったときの事です。そのフェリーは主に島の人達が通勤や通学に利用しているらしく、広い船室の長椅子に腰掛ける乗客のほとんどが地元の人達で、学校帰りの高校生の姿もありました。

島に渡る時間は15分位でしたので学生達は椅子には座らず、思い思いの場所で友達同士楽しそうにしていたのですが、広い船室でテレビを見ている人達に迷惑になるような大声を出す学生は1人もいませんでした。

ところが船室の一番後ろから突然女性の大声が聞こえます。その言葉が信じられないような内容でしたので船室に居た全員が一斉に振り返るのですが、そこにはその様な言葉を口にするとは思えない真面目そうな男子と女子の2人の高校生が驚いたような顔をして立っていました。

                   こえ-s

おそらくその二人を見てそこに居た全員があれは自分の空耳だったと思ったはずです。ところがすぐにもう一度聞こえたのです。内容も前より過激になっており、全員に注目される中、女子高生は両手で自分の口元を隠しながら仕切りに首を横に振っていました。隣の男子学生も体の前で手を振りながらそれが誤解であることを必死で訴えていました。

二人は逃げるように船室から出て行きましたが未だにあれが何だったのかわかりません。ただ2人の一番近くに居た私の耳にはその声が2人の少し上の方から聞こえたような気がしたのですが…

コオロギのアトリエ