216 「ムカデ(2)」
農業に従事している義理の兄の話です。
「昨日、寝ていたらムカデに足をかまれたよ。ほら、ここ、穴が2つ開いているだろ…」
そう言いながら私に見せる右のかかと部分には確かに赤い小さな穴が2つありました。兄の話によると寝室によくムカデが出没するらしく、毎年のようにムカデに噛まれているそうなのです。それも20センチ近くある巨大ムカデらしいのです。
ムカデには強力な毒があるのですが、不思議なことに兄は噛まれても平気らしく、病院に行くどころか傷口に薬ひとつ塗らないというのです。兄に言わせると30年近く『紫蘇』の栽培をしているお陰でいつの間にか『毒』を中和できる体になったのだと言います。
確かに紫蘇には殺菌効果があることは事実で、食中毒や魚系のじんましん、貧血、ガンの予防、更には免疫機能を正常に保ちアレルギー症状を軽減し、最近では花粉症にも効果があるらしいとも聞いています。しかしムカデの毒まで中和するとはチョッと信じられません。
おそらく長年の農作業で酷使された手足の皮膚が普通の人より厚くなっていてムカデも歯が立たないだけなのではないかと私は思っているのです。どちらが正しいか一度、比較的皮膚の柔らかい『首』の辺りを噛まれてほしいものです。
コオロギのアトリエ