不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

226 「虹色の魚」

熱帯魚で思い出しましたが妹が小学3年生の頃の話です。当時、家のすぐ裏には小川が流れており流れの緩やかな場所は子供達の格好の遊び場になっていました。それは夏休みの真っ只中の暑い午後の出来事でした。

「サカナがいる、きれいなサカナがいる」という妹の声で扇風機の前で昼寝をしていた私は起こされます。至福の時を邪魔されたという怒りよりもきれいなサカナを見てみたいという気持ちの方が上回っていましたので妹に八つ当たりなどはしませんでした。

小川では妹と同い年の2~3人の子供達が浅い川の淀みを覗き込みながら「そっちに行った」「その石の下に潜った」と大騒ぎをしていました。どうもいったん見つけた魚を見失ったようでした。

話を聞くと今まで見たこともない虹色のきれいな魚だったと言う事でしたがしばらく探しても見つからないので、きっと誰かが逃がしたグッピーがたまたま生き延びているのだろうという結論を出し、引き上げようとしたその時です。「捕まえた」という妹の声で振り向いた時に妹の手の中から飛び跳ねて逃げる間際のその小さな魚を見て驚きました。

                  虹色-s

一瞬でしたが1メートル位の距離で見たそれはグッピーの様な体型をしたサカナではなく、フナの子供か小さなタナゴの様な魚で背の紫色から体全体に光沢のある美しいグラデーションで虹色に輝いていました。

虹色の魚は2度とその姿を現しませんでしたが、あの夏の日、確かに虹色の魚はそこにいたのです。

コオロギのアトリエ