不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

345 「影」

ワンの散歩は夜の9時頃から始まるのですが、散歩コースの途中にある小さな公園で長めのリードをフリーにして適当に走らせるのが毎日の日課になっています。

10メートルのリードの端っこを持って公園の中央に立てば公園のほとんどをカバー出来るので、ワンが遊んでいる間は街灯に照らされた公園の桜の木の枝ぶりや夜空の星をボンヤリ眺めているのが常なのですが、数日前に気になる事がありました。

公園の中心に影があったのです。勿論街灯に照らされた自分の影とは別の影で、街灯の近くにある木立の影とも違うのです。満月の夜などにも別の木立の影が出来る事はありますが、長年の経験からその影はそれらの影とは違う別の何かでした。

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最初はその色があまり濃くないので地面の土の色がそこだけ違っているのかとも思い足で穿ったりしてみましたがやはり何かの影なのです。影の端を辿っていけば影の元になる物体にたどり着くのが普通なのですが、不思議なのはその直径2メートル程の円形の影はどう見ても独立しているように見えるのです。

勿論その影の中心で上空も確認しましたが星空以外には何もありません。もしそこに何かがあったとしてもそれの上に光源がなければそのような影が出来るわけがないのです。更に不思議なのは散歩の終わりにもう一度その場所を確認してみたところ文字通り影も形もなかったのです。

コオロギのアトリエ