不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

344 「カドニカ」

小学6年生の頃ですから今から40年以上も昔の事になるのですが、サンヨーの『カドニカライト』という懐中電灯を宝物のようにしていたのを覚えています。当時の懐中電灯は単一電池を2個入れて使う円筒形のスタイルが普通だったのですが、カドニカは従来の懐中電灯のイメージを一新した画期的なデザインの懐中電灯で、手の中にスッポリ収まる長方形の薄いプラスティックのボディーの先端に縦に並んだ切り替え可能の2個の電球は上がノーマルで下が赤色になっていました。

衝撃的だったのはライトの後ろ側をスライドさせるとコンセントプラグが出てきて家庭のコンセントから充電が出来ると言う優れものだったのです。今でこそLEDを使用したいろんなデザインのコンパクトなライトが普通に手に入りますが、当時の小学生にしてみればカドニカはまるで未来からやって来たアイテムのようなインパクトがあったのです。

その、お年玉と少ない小遣いを必死で貯めて遂に手に入れた美しい淡いブルーのカドニカライトを持って友達数人と裏山の洞窟探検に明け暮れていたある日、人が1人やっと入れる位の小さな洞窟を見つけます。私は怖かったので先頭のE君にカドニカを持たせ私は一番後ろからついて行きます。

                カドニカ-s

4人はムカデの様に1列になって20メートル程奥に進むのですが、結局行き止まりだと言うので方向転換してカドニカは私の手に戻って来るのですが洞窟から出て手に持ったカドニカを見て驚きます。白いのです。美しい淡いブルーのボディーが真っ白に変わっていたのです。

誰かが暗闇に紛れてすり替えたのかとも思いましたが当時は私の他にはまだ誰もカドニカを持ってはいませんでしたからそれは考えられません。不思議な事もあるものだと思いながら1週間ほどが経過し、白も悪くはないなと思い始めた頃にそれは起こります。

夜、家族でテレビを見ている時に突然停電になりカドニカが本領を発揮する事になるのですが、電気が点いてビックリします。何とカドニカがブルーの色に戻っていたのです。その事を家族の者に言っても最初からブルーだったと相手にされませんし、もう何が何だか…

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