358 「爆発」

不思議な事というのは大体意味がわからない事と相場が決まっていて、そのままでは不安なので大概そっち系の仕業にしてしまうのが落ちなのですが、それが仏壇の中で起こった出来事であったりするとそれはもうそういうことになるのは必至です。

１０年位前の話です。その日、母親と妹と妹の７歳になる娘と一緒に親戚の伯母さんの家を訪ねたのは、一ケ月ほど前に亡くなられたおじさんの仏壇にお参りする為でした。それは々立派な仏壇で、不謹慎ではありますが仏壇に手を合わせながら内部のすばらしい細工の数々にみとれてしまうほどでした。

お参りは、母親、私、妹と妹の娘の順番だったのですが、妹が仏壇の前に座って手を合わせた正にその時それは起こります。仏壇が爆発したのです。と言っても仏壇自体ではなく仏壇の内部の空間で爆発が起こったのです。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

先にお参りを済ました私は仏壇の内部の細工に興味があったのでお参りをする妹の後ろから仏壇の内部を観察していたので一部始終を見てしまったのですが、その仏壇は電機を使う小物などは一切なく、火の気は仏壇の中のロウソクと線香だけだったのですが、仏壇の真ん中に置かれた線香立ての２０センチほど上の空間で『ボンッ』という低い音と同時にソフトボールほどの球体状に白い閃光が走りました。

仏壇の内部には結構な高さの『白いカラーの花』が一本飾られていたのですが爆発の後しばらく左右に大きく揺れていました。不思議だったのはその揺れはいつまで経っても治まらず、伯母さんが無理やり止めるまでその振り幅は変わりませんでした。そして呆気にとられる私達をよそに伯母さんはニコニコしながらこう言います。

「きっと皆が来てくれて、この人も喜んでいるのよ…」

コオロギのアトリエ