不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

017 「蜘蛛」

  人の想念や思念と言うものは本人が意識する、しないに係わらずありとあらゆる物や事柄との関係に微妙なバランスを保ちながら目に見えない形でシンクロしているような気がします。生活の拠点である『家』ともなると、それは時として眼に見える形をとることがあります。
 
私たちの結婚生活は彼女の母親と一緒に生活をするというパターンだったのですが、その母が十数年前に他界し、初七日も無事に済み、慌ただしかった日常にやっと普段の生活のリズムが戻りかけていたある日のことです。

 

米櫃の中に虫が湧いたのです。たまにそういう事もあったように思いますがここ何年も無かった事なのです。それから母がいたときには一度も見たことのなかった大きな蜘蛛が居間のカーテンの真ん中で、さも当然のように出産をはじめるのです。蜘蛛の腹の下から小さな蜘蛛が数百、数千と出てきたときには時空がズレているような、何とも嫌な感じがしました。それからすぐに電化製品も申し合わせたように故障し、母の大切にしていた庭の梅の木もあっという間に枯れてしまったのです。


 
それを偶然や手入れが行き届かなくなった事のせいにしてしまえばそれまでですが、どうもそれだけではない「何か」を感じてしまいます。


コオロギのアトリエ