不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

046 「ビン」

 高校一年の時に遠足とスケッチ大会をミックスしたような学校の行事があり、学年全員で湯布院の手前にある高原の湖に出かけました。それぞれが適当な場所を見つけスケッチしたりお弁当を食べたりするのですが、その内スケッチにも飽き、気のあったもの同士でワイワイガヤガヤ好き勝手なことをして遊びはじめます。

それにも飽きた頃、誰からともなく「今日の思い出を何かの形で残しておかないか」と気のきいたことを言い出すものですから、みんなで無い知恵を絞って考えついたのがスケッチブックの切れ端にみんなの名前を書いて小さく折りたたみジュースの空きビン(当時はまだビンが主流で缶ジュースはもっと後のことです)に詰め込んで目印になりそうなものの下に埋め、10年後に掘り起こすというものでした。

それは良い考えだということでさっそく目印になるものを探すのですが結局、湖畔に立ち並ぶ何十本もの木のうちの一本に決まります。その木の根元をワイワイいいながら掘り起こしているときにそれは起こりました。何と一本の古いビンが出てきたのです。

『バ〇〇―ス』という当時でもあまり見かけない古いジュースのビンでした。驚いたのはビンの中に小さく折りたたまれた紙切れが入っていたということです。それを開いてみようという結論に至るのに時間はかかりませんでした。4~5人でそれを覗き込み、おもむろに開かれたその紙切れの文字を目にした瞬間、一瞬空気が凍りついたのがわかりました。



次の瞬間にはそれぞれが悲鳴をあげその場から逃げるように離れるのですが、私だけがその場から離れられなかったのは紙切れを持っていたのが私なのと、その書かれてある内容が自分に関係していたからでした。
                                           
つづく


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