052 「異形(後)」
「それ」との距離が10メートル位になったところで車を止め、車内から観察することにしたのは怖かったからです。胴体?の部分はバレーボールくらいの球体で全体が白い羽毛のようなもので覆われており、大型の鳥のような足が2本ありました。
最初、鶴とかサギが首を縮めているだけかとも思いましたが、60~70センチほどある「それ」のどこにも鳥のような首や頭は確認できなかったのです。カカシの類の作り物かとも思いましたが、強い風が吹いたときバランスを保とうとして「それ」が少し
足の位置を変えたことから「それ」が2本の足で体を支える生物であることを確信しました。
しばらく様子を伺うのですがそれが何なのかの答えを見つけられないイラダタシさから車を「それ」のギリギリの位置に近づけたのは、それがキッカケで「それ」がその場から逃げてくれることをどこかで期待していたからなのかもしれません。
結局、身を乗り出して助手席の窓から覗き込まなければ「それ」を確認できない状態になってしまったのですが、ヘッドライトの範囲から外れてしまったことでかえって観察が困難になってしまいまいた。たまたま前方から接近してくる大型のトラックのライトで「それ」を80センチくらいの距離で観察できたのですが、風に揺れる白い柔らかそうな羽毛の中に「目」があるのがわかりました。
そのとき後方から接近する乗用車のパッシングでやむをえず車を発進させるのですが、バックミラーで確認したときには「それ」はもうそこにはいませんでした。
今ならカメラ付き携帯やデジカメで「それ」の画像を残すこともできたのですが、当時はそのどちらも持っていませんでした。もし、もう一度遭遇することがあれば今度は必ず画像で残したいと思います。
ちなみに、羽毛に覆われた部分は胴体ではなく頭(顔)でした。