不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

054 「ケサランパサラン」

 15年ほど前になりますが、当時ゴルフ場でキャディーの仕事をしていた妹が「バンカーの中で『ケサランパサラン』」を捕まえたので一度見てほしい」と言うので、一週間くらいして何かの用事のついでに見に行きました。

私が何の期待もしていなかったのは、おおかたタンポポの種かアザミの種をケサランパサランだと思い込んでいるだけだろうと高をくくっていたからですが、妹の家の玄関を開けた瞬間に『もしかしたら本物かもしれない』と思ってしまいました。というのは明らかにいつもと様子が違うのです。なんと言うか明るいと言うか活気に満ちていると言うか、何となくバラの香りがするのです。

「これがそうなのよ」と妹が押入れの中から大事そうにオシロイを敷き詰めた菓子箱を持ってきたのですが、その中に直径3センチほどのウサギのシッポのような球形のものを見たときはさすがに衝撃でした。私はそれまで写真や動画でしか「ケサランパサラン」を見たことがありませんでしたから本物を目の当たりにして感動してしまいました。



最近では「昆虫タイプ」というのも加わっているようですが、基本的に「ケサランパサラン」には「植物タイプ」「動物タイプ」「鉱物タイプ」の3種類があり、妹が捕獲したのは動物タイプのそれで、2センチほどのグレーの柔らかい毛が5ミリほどの核の周りにビッシリ生えていて、全体の30パーセントの割合で3センチほどの白い毛が生えていました。毬藻のような密度はなく、見た目よりも軽いのですが、動物の皮膚のような核の真ん中に「口」のようなクボミがあり、毛はその核の表面から確かに生えているようでした。

ケサランパサラン」には色々な説があるのですが、動物タイプに関して一番有力なのが、「猛禽類(ワシ・タカ・フクロウ等) に食べられた兎などの動物の毛と皮が、糞とともに排泄され、 毛のついた皮が縮んで中心に残り、毛が球状になったもの」というものです。

不思議なのはそれが何であれ、それが妹の家に居たおよそ90日間、信じられないほどの幸運と幸せに満たされていたということです。それが「ケサランパサラン」のパワーのせいなのか、幸運の「ケサランパサラン」を捕獲したという意識が精神的に良い方に作用した結果なのかはわかりませんが、どちらにしても「それ」の影響で幸せが訪れたのは事実なのです。


コオロギのアトリエ