058 「UFO-2」
そのKさんが元気な頃に二人で福岡の大野城市近辺を散策したときの話です。二人して地理にはまったく疎いので迷子覚悟で適当に車を走らせていると、小高い山の頂上が公園になったような場所に出ました。町が一望できる展望台まで完備された立派な公園でした。
車を降りてその辺を散策した後、展望台でしばらく休むのですが、飛行場から飛び立つ飛行機を何気なく目で追っていたときに奇妙なことに気づきました。飛び立った飛行機の少し後方が黒いのです。尾翼のすぐ後(十メートルくらい)に黒くて丸いものが飛行機と同じ速度で飛んでいるのです。何だろうと思いKさんにも確認してもらったところ、Kさんはしばらく観察した後にこう言いました。
「航空会社は大気の成分を定期的に調べる為に何機かに一機の割合で飛行機の後方に専用のパラシュート付けることがあるのだよ」
そんなことがあるとは知りませんでしたから、Kさんは私の質問攻めにあいます。
私「飛んでいる間パラシュートはズット付けているのですか?」
K「途中で切り離すのだよ」
私「どこで?」
K「ちゃんと決まった場所があるのだろうね」
私「なぜ黒色なのでしょうね?」
K「黒色というのは一番熱を吸収しやすいのだよね…」
私「…熱?…ですか?」
K「そう、だって冬はみんな黒い服を着るだろ。それは白よりも熱を吸収しやすいからなのだよね」
このわけのわからないシュールな会話はまだまだ続くのですが、結局最後までKさんはパラシュートだと言い張りましたが、どう考えてもそれはあり得ないことでした。(もしそれが本当であるという航空関係の人がいれば連絡お願いします)
あれは飛行機の後方の特殊な空気の流れが起した現象ではなかったのかと思っています。それにしても真っ黒な見事な球体はまるで飛行機を追跡するUFOのようでした。
コオロギのアトリエ