不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

066 「ドジョウ」

 随分前に「タチウオ」釣りに凝っていた時期があり、秋口になるとほぼ毎日夕方から近くの海に出かけていました。その時期になると釣具屋で生きたドジョウが売られていてそれを餌にタチウオを釣るのです。時期としては9月の頭から精々10月の終わり位までで、タチウオのシーズンが終われば次の年の3月位まで私の釣りはお休みになります。



次の年の3月のある日、天気も良いので釣りにでも行こうと釣り道具の整理をしていたとき、魚を入れるクーラーのフタを開けてビックリしました。クーラーの底にわずかに残った水の中で何かが泳ぎ回っているのです。その白いミミズのようなものをよく観ると、何と痩せ細ったドジョウだったのです。太刀魚の餌になるのを免れて、日の光を遮断された食べ物もないクーラーの中で少なくとも4ヶ月間は生き延びていたことになります。

せめてもの罪滅ぼしに、酸素付の小さな水槽に移し、金魚の餌で大事に育てたところ、見る々元気を取りもどし、丸々太ったドジョウはその水槽で1年間暮らした後、近くの小川に帰っていきました。


コオロギのアトリエ