不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

314 「ゴムひも」

これを読んでいる方で食事中の方はいないと思いますが、これから食事をされる方、もしくは食事されて間もない方は絶対に読まないで下さい。

小学2年生の運動会の時の出来事です。今はどうか知りませんが当時の運動会は年間行事の中でもトップクラスのイベントでしたから応援のために集まった家族や親戚関係の人たちで小学校の小さなグランドは大変な騒ぎでした。

特に盛り上がるのが昼食の時間で、それぞれに陣取った場所に豪華なお弁当を広げて夢のような御馳走をいただくのですが、少し離れた場所の盛り上がり方が他と少し違うのが気になりその様子を見に行った私はそこで生涯忘れる事の出来ない光景を目にする事になります。

当時はブルーシートではなく『ゴザ』と呼ばれる『イグサ』のカーペットのようなもの上で皆がお弁当を囲んでいたのですが、その人だかりの中心にはお弁当ではなく四つん這いの女の子がいました。見ると赤い運動帽に白いシャツの5年生の女子の黒いブルマの裾から『ゴムひも』が出ています。

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そのゴムひもを母親と思われる女性が自分の左手の指先に巻き付けているのですが、その傍らでおじいちゃんが意味不明なことを叫んでいます。

「ゆっくりじゃ、ゆっくり引っ張り出せ、途中で切れるとそこが口になるぞ!」

『口になる?』心の中で復唱しながら何だか怖かったのですが好奇心の方が上回ってしまいそのまま状況を見守ってしまいます。その内に『ゴムひも』とばかり思っていたその平たい『ひも』のようなものはブルマではなく女の子の体内から出てきていることに気付きます。

母親の手に巻き取られたそのひも状の先端が重力に反した有らぬ動きをするのを見てそれが生き物である事を理解するのです。当時『回虫』と呼ばれる人の体内に寄生する虫は特別珍しいものではありませんでしたが実際にあのように巨大なものが体内から出てくるところを見たのは後にも先にもそれが初めてでした。

おそらく私が見たものは『サナダムシ』と呼ばれる回虫で、大きいものになると10メートル近くにもなるものがいるということです。不思議なのはその事件が起こる前のその女の子はひどい吃音症だったのですが、その事件の後その女の子は全く普通に話せるようになっていたということです。

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