不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

316 「スズキ」

ルアーフィッシングのターゲットとして代表的な魚と言えば『スズキ』ですが、大型のものになると1メートルを超えるものがいるそうです。実際に私がよく利用する釣具店には108センチのスズキの魚拓がレジの壁に貼られています。

ある人の情報によると宮崎県の大型のスズキが出る事で有名な一級河川に架かる橋の上で早朝、尻尾の先が道路まで届くほどの大きなスズキを背負った釣り人を見たと言い張るのですが、それが本当なら優に170センチは超えていたという事になります。

170センチまではいきませんがモリで魚を突く事を趣味にしている友達の父上は130センチ位のスズキを突いた事があるそうです。父上の漁というのは大きな船が停泊する港の海中にアクアラングを背負って潜り、ひとところでジッとしてひたすら獲物が寄って来るのを待つのだそうですが、ある時その巨大なスズキに遭遇し不覚にもその大きさにビビってしまい急所を外してしまいます。

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それでもモリは獲物には刺さったらしいのですが余りにも大きすぎて父上はモリごとスズキに引っ張られたそうです。父上はタンクの酸素が心配になるくらい海の中を引っ張り回されたと言いますから30分以上はスズキと一緒に居たのだと思います。

残念ながら獲物には逃げられてしまうのですが父上の体力も限界に達していたのでかえってモリが外れてくれたことを幸いに思ったと言います。ラッキーだったのはスズキが沖に向かって泳がず岸に沿って泳いでくれたことですが、結局4キロメートルほど離れた海岸に上陸した父上はウエットスーツに酸素ボンベを背負い、足ヒレを付けたままコンクリートの歩道を歩いて帰ったそうです。

何故足ヒレを脱がなかったが不思議だったのですが、おそらく夕方と言っても真夏の事ですから、さすがに裸足でコンクリートの上を歩くのは辛かったのだと思います。

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