不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

339 「街の灯り」

初めて飛行機に乗ったのは小学5年生の時でした。父親が何かの用事で大阪の親戚の所に行くついでに私も一緒に連れて行ってくれたのです。

初めての飛行機には興奮しまくりで、帰りは夜間飛行でしたので更に興奮したのを覚えています。父親はいかにも乗りなれた風に振舞ってはいましたが、もしかしたら父親も飛行機はその時が初めてだったのではなかったのかと思ったのはこういうことがあったからです。

帰りの飛行機が大阪の空港を飛び立ってしばらくの間は窓から大阪の街の灯りが見えていたのですがその内、窓の外は真っ暗になり何も見えなくなります。ところがいつまで経っても窓の外に小さな赤い光が見えるので父親に訊ねたところ、父親は「あれは大阪の街の灯りだ」と言います。

               町の灯り-s

飛行機はかなり上空にあるので地上の灯りがいつまでも見えるのだと言うのです。それも普段では考えられないような大きな声でです。今思えば他の乗客に飛行機が初めてだという事を悟られまいとする過剰な意識がついつい大声になってしまったものと思われます。

ところが不思議な事にその光は30分経っても40分経ってもその位置にあり、ほぼ1時間後の着陸態勢に入った飛行機の窓からも見えていました。その時私はそれが飛行機の翼の先端で光っている光なのだということに気づき、それを伝えるために父親の方を見て驚きました。ついさっきまで大阪の灯りだと言い張っていた父親が突然寝たふりをし、私を無視したのです。

コオロギのアトリエ