不思議な話(二ーマンのピク詰め)復刻版H

      ー実際に体験した不思議な出来事の記録ですー

343 「爪切り」

午後から人に会う用事があり、そろそろ支度を始めようと思った時に足の指の爪が気になります。かれこれ2ヶ月ほど足の指の爪を切っていなかったので結構な長さに成長していたのですが、私は昔から何故か自分の伸びた爪を見るとしばし見とれてしまうという癖があり、気が付けば約束の時刻に遅れそうな時間になっていました。

急いで爪切りを探すのですがいつもの引出しの中にあるはずの爪切りがその日に限ってないのです。朝早くにパソコン教室に出かけた妻に爪切りのありかを訊ねようと電話するのですが一向に電話に出てくれませんし、引出しをひっくり返して隅々まで探しても見つからないので仕方なく釣りの時に使うテグスを切る小さなハサミで何とか全ての爪を切る事に成功しました。

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特に薬指の爪の長さに感動しながらもう一度引出しの中を確認したのはもしかすると例の『消滅現象』が起きているのかも知れないと思ったからです。期待を込めて引出しの中の品物を1点1点確認しましたがやはりそこに爪切りはありませんでした。

用事を終え、夕方家に戻って妻の携帯電話の呼び出し音の音量の問題と爪切りの置き場の徹底に文句を言わせてもらうのですが「これは爪切りじゃないの?」とやさしい笑顔で例の引出しから見慣れた爪切りを取り出された時にはちょっとショックでした。

コオロギのアトリエ